あたしの言葉を遮って、陽がやっと言葉を発した。
「朔乃先生。どうして、もっと早く教えてくれなかったんですか」
「え……」
そう言って顔を上げた陽の目には、涙が溜まっていた。
でも、泣きそうというよりは、どちらかというと怒ったような顔をしている。
「陽?」
「文化祭の時、朔乃先生が泣いてた理由がやっとわかりました。僕、自分が許せないです。何も知らなかったとは言え、朔乃先生にあんなひどいこと言ってしまったことが」
天川さんの告白現場を目撃したあとの陽の言葉を思い出す。
あの時陽は、あたしが陽を引き止めた理由を、大宙くんと天川さんを結ばせる為だと勘違いしていた。
そのことに関してはもう和解できているし、そう思われても仕方ない状況だったし、実際あの時あたしは天川さんのところに行って欲しくないとも思った。
だから、陽が自分を責める必要なんてないのに。