あれから2日が経った日の朝。
起きて、制服に着替えて、リビングに降りる。
そして、ダイニングテーブルの上にある物を見て、あたしは眉間にシワを寄せた。
福澤諭吉さんが3人いる。
つまりは、一万円札が3枚。
それらがダイニングテーブルの上に置いてあった。
1日の食費にしては、普通より明らかに多い。
つまりは、しばらく家に帰ってこないということかな。
「年頃の娘をほっといて、遊んでばっかの母親がどこにいるんだよ……」
ため息をついて、その一万円札を手に取る。
どこに行ってくる、だとか。
いつ帰ってくる、だとか。
そんな書き置きすらない。
ただ、あたしが生活するのに困らない程度のお金を残していく。
あたしの母親は、あたしが小学生の時に父親と離婚してからというもの、彼氏を作ってはその度に遊びまくるようになり、家庭を顧みなくなった。
いつものことだけど、だからこそ慣れてしまった自分が虚しくなる。
手にした一万円札をぐしゃっと握り締め、あたしは怒り任せに床に投げ捨てて。
朝ごはんも食べずに家を出て、学校へと向かった。