「えー!なになに、また別れたの!?」


休み時間になり、さっきの授業中に彼氏と別れたことを親友の星奈(せいな)に話すと、おいおいとでも言いたげな様子で頭を抱えた。


「ん、そう。キスからその先は無理だもん」


「またそれー?」


紙パックのジュースを一口飲むあたしの顔に、自らの顔をずいっと近づけて星奈が言う。


「いい加減、その信念曲げたら?朔乃、せっかくモテるのに、このままじゃ一生誰とも長く付き合えないよ?」


星奈を言葉を、首を振って否定する。


あたしはモテてもいないし、この信念を曲げることもできない。


あたしは、心から好きになった人とじゃなきゃ、恋人らしいことはできない。しないと決めている。


それでも、言い寄ってくる男を拒まないのには、理由といっちゃそれっぽいのがあるんだけど……。


「朔乃、また別れたってー?」


「まじウケんだけど!今回で何回目〜?」


そんな話を星奈としていると、わらわらとあたしの周りに男女問わずクラスメイト達が集まってきた。


あたしの恋愛遍歴がネタにされるのはいつものことだけど、あまり大勢の前で言いふらすのはやめてほしいなぁ。


こんなに、付き合うのと別れるのを短期間の間に繰り返してたら、絶対悪いイメージを持たれてしまうに違いない。


まあ……実際ひどいことをしているのは自覚してるから、あながち間違いではないんだけど。