慌てて勉強に戻る。
「もう!そんなんじゃ、K大学受かりませんよ!」
「ごめんってばー」
小言を言われ、あたしは口を尖らせる。
まるで、勉強しない子供とそれを怒る親みたいなやり取りで、思わず2人で顔を見合わせて笑ってしまった。
「そうだ、朔乃先生。良かったら、これ」
「どうぞ」と言いながら、陽があたしに差し出したのは、表紙に“受験対策NOTE”と黒いペンで書かれたノート。
「過去の試験問題でよく出てた問題や、僕なりにここはわかるようにしておいたほうがいいと思ったところをまとめたノートです。良かったら、使ってください」
パラパラと中を見ていると、陽の丁寧な字で問題やその答えの解説や、覚えておくべき公式などなど、マーカーなども使ってわかりやすく細かくまとめられていた。
中には“朔乃先生の苦手なところ!”なんていう箇所があり、あたしが苦手な問題が用意されていたり、こうすれば覚えやすいというアドバイスなどが書かれていた。