あまりにもまっすぐな目。
メガネ越しだというのに、その眼差しがあたしを今すぐにでも射抜きそうなぐらい。


たとえブサイクというわけではないけど、今まで付き合ってきた男と比べると、お世辞でもかっこいいと言えない普通の顔立ちの有明陽なのに。


真剣そのものの有明陽の姿に、思わずドキッと心臓が跳ねた。


「先生も、僕のことを名前で呼ぶなら、僕も先生のこと名前で呼ばせてもらいます」


「な、何であたしまで……」


あれか、あたしのことを呼び捨てにできるようになったら、いつか天川さんと仲良くなれた時に呼び捨てで呼ぶつもりなのか。


それならば、“先生”になったあたしが協力しないわけにはいかない。


よし、呼んでやろうじゃないか。


「よ……」


何を緊張してるんだ、あたし。
仲の良い男だって呼び捨てにしてるし、今更恥ずかしがることなんてない。しかも相手はたかが有明陽だ。


そんな失礼なことを思いながら。



「陽……」



静かに名前を呼んだ。