「星奈のおかげだよ。ありがとう」
改めてお礼を言うと、星奈が照れくさそうにはにかむ。
でも、すぐに真面目な顔になり、急に声を潜めた。
「朔乃は、有明くんに気持ち伝えないの?」
「……うん。今はほら、受験もあるし」
「じゃあ、受験が終わったら言うの?」
うまく適当にはぐらかせたと思ったけど、星奈に突っ込まれて戸惑うあたし。
陽に告白……したいとは思ってる。
振られたけど、天川さんに告白した陽は清々しい顔をしていた。
あたしも、初めて自分が本気で好きになったことを伝えたい。例え、振られたとしても、伝えられたことだけで自分の中で大きな進歩だと思うから。
でも、今はまだ、具体的にいつだとかは考えてない。
陽もまだ天川さんに振られたばかりで、気持ちがまだ残っていないわけじゃないと思うし。あまり困らせたくない。
何より、今のこの関係でいられるだけでも幸せだから。