「おはようございます、朔乃先生」
「あ、陽」
気合いを入れ直していると、陽があたしのもとにやってきた。
「朔乃先生。今日は図書館で勉強しませんか?たまには学校じゃない場所で勉強したほうが、気分転換になってはかどりますから」
「うん、わかった」
あたしが頷くと、「じゃあ放課後に」と陽はその場を後にする。
そんなあたしと陽の様子を、星奈がじーっと見ていた。
「どうしたの?」
「ううん。仲直りしてくれて、本当によかったなぁって」
星奈が頬杖をついて、幸せそうな笑顔を浮かべる。
あたしの“先生”としての役目が終わった今でも、あたしの受験勉強にこうして付き合ってくれている陽。
ギブアンドテイクじゃなくなってしまったけど、陽は今までのお礼としてあたしに勉強を教えてくれている。
あたしの頭のレベルに付き合わせてしまって悪いという気持ちがないわけではないけど、星奈の言う通り、陽との関係を続けていられることが嬉しかった。