何で、わざわざ教室から呼び出してまであたしにこんなことを聞いてくるんだろう。


「はぁ……お前、やっぱ相当な馬鹿だよな。自分の好きな奴の恋を、結果がダメだとわかってたうえで応援してたなんて」


そう、あたしは陽の“先生”だから。いや、“先生だった”から。


「有明が何で告んなかったのかはよく知らねーけど、有明のこととか如月のこととか考えたらなんか……上手く言えねーけど、手放しには喜べないんだよ」


天川さんのことは好きだけど、せっかく譲ったのに陽は結局告白していないし、自分だって天川さんのほうから告白されただけであって、大宙くんはあまり釈然としていないらしい。


「まあ、でもこれで、あんたが俺に泣いてまで有明に先に告白させてやってくれって頼んできた理由がわかった。でも、だったら尚更、何で有明は言わなかったんだ?」


それは……。


『もしかして、あの2人を結ばせる為に、今日僕を引き止めたんですか?』


陽の言葉が、今もあたしを責め続ける。