「ちょっと、何よ!」
「話が違うだろうがよ!」
廊下の途中であたしが掴まれた手を振り払いながら言うと、大宙くんが半ギレで答えた。
「は……?」
「有明は、文化祭の時に天川に告白するんじゃなかったのか。そんな感じもないし、俺なんか……」
自分の口からは言えないのか、そこまで口を閉ざず大宙くん。だから、あたしが代わりにその先の言葉を繋げると、大宙くんは複雑そうな表情を浮かべた。
「大宙くん、天川さんに告白されたんでしょ。ごめん、見ちゃったから知ってる」
「やっぱりお前らだったか……」
あの時、走っていく陽の名前を呼ぶあたしの声が聞こえてしまった、と大宙くんは言った。
「天川の気持ちは、もともと知ってて有明を応援してたのか?」
素直に首を縦に振る。
それはそうとして、どうして大宙くんはあまり嬉しそうじゃないんだろう。ずっと好きだった相手に告白されたというのに。