「如月。話がある」
「……」
無視を決め込むけど、それでさらに大宙くんの凄みが増す。
「お、大宙くんだっけ?朔乃に何か用事?だったら、私が代わりに聞くよ!」
「俺は如月に話があるんだ」
せっかく助け舟を出してくれた星奈も、大宙くんに一瞬で一掃されてしまった。
文化祭が終わったあと席替えをして、陽とは離れてしまったから顔までは見えないけど、大宙くんの視線と一緒に陽の視線も感じるような気がする。
陽には、あたしが大宙くんと繋がっていると誤解されたままだ。
こんなところ見られたら、ますます疑われてしまう。
「如月!」
「……あたしは、大宙くんと話すことなんてない」
あたしに拒まれ、大宙くんは「くっ」と眉間にしわを寄せる。
でも、頑として動こうとしないあたしに、とうとう痺れを切らしたのか。
「いいから来い!」
あたしの腕を掴み無理やり立たせると、ずるずると引きずるように連行されてしまった。