星奈は、文化祭からあたしの元気がないのを気にしてくれて、最近こんなふうに誘って元気づけようとしてくれている。
はじめはそんな気分になれなくて断っていたけど、でも何度も声をかけてくれる星奈の気持ちに応えたい。
「……うん、そうだね!あたしも新しい服欲しい!」
「よっしゃー!決まりー!」
星奈が笑うと、あたしもつられて笑顔になる。
やっとあたしの笑った顔を見て、星奈はとても嬉しそうだった。
すると、「如月」と教室のドアのほうから名前を呼ばれた。
……大宙くん。
あんまり関わりたくない。
一度目は合ったけど、あたしはすぐに逸らして気づかないフリをする。
でも、大宙くんは他クラスの教室でも構わずズンズンと入ってきて、あたしの目の前まで来ると、足を止め、仁王立ち。
座っているあたしは上から見下ろされ、その威圧感に少しの恐怖を覚えた。