高校生最後の文化祭は、ほろ苦いもなになるだろうとは思っていたけど、実際は苦いというよりもしょっぱかった。


涙の味。


お母さんにあんな形で久しぶりに会うことになった挙句、陽との仲が終わってしまった。


嫌な思い出しかない。


最後に陽が、あたしのことを“如月さん”と呼んだ時のことが、頭の中にずっと残っていて。


気を緩めればどこでも泣けそうだ。


文化祭が終わってからというもの、あたしはぼんやりと、受験生だというのに勉強も手につかないぐらい、ただただ毎日を抜け殻のように過ごしていた。


どうしてだろう、単に陽と出会う前のあたしに戻っただけのはずなのに。


でも、それほどあたしの中で、陽の存在は大きかったってことなんだろうな……。