「じゃあ、明日の委員会、天川さんと一緒の掃除場所になれるように頑張ってみますね!如月先生!」
有明陽は、両手をぐっと握り締め、気合いを入れる。
あたしは、そんな彼に「うん、頑張りな」とエールを送ったあとに、ずっと気になっていたことを続けて言った。
「あのさ、有明陽。その“如月先生”っていうの、やめてくんない?」
「どうしてですか?先生は先生ですよ?」
「その敬語もやめてよ……。堅っ苦しいしさー」
苦笑しながらそう言うと、有明陽は「じゃあ、なんと呼べば?」と首を傾げる。
「朔乃でいいよ。皆もそう呼んでるし」
「へっ!?」
男も女も、皆があたしのことをそう呼ぶから、と。
でも、有明陽は間抜けな声を発して、一瞬で顔を真っ赤にした。
「えっ、いや、でも、あの……」
「どうしたの?」
突然挙動不審になった有明陽に、あたしは少し眉を寄せる。
すると、思わぬ言葉が有明陽の口からこぼれた。
「……じょ、女性を軽々しく呼び捨てで呼ぶなんて……そんな……」
……え?