それからどれほど泣いていただろう。


本当なら今頃天川さんに告白していただろうと思われるこの屋上で、あたしは陽の隣で泣いた。


久しぶりに会った母親があんなで、腹が立って、誰かにそばにいてほしいのと陽を見送る気になれなかったのとで、彼の優しい性格を利用した。


“先生”失格だ。


それでもいっぱい泣いたおかげで、だいぶスッキリしたのか冷静になれた。


いつまでも陽を引き止めていちゃダメだ。


「ありがとう、陽。あたしはもう大丈夫だから、天川さんのところへ行って」


「えっ、でも……」


陽の言いたいことはわかる。
約束の時間はとっくに過ぎていて、天川さんももう違う人と文化祭を回っているかもしれない。


でも、きっと大宙くんではないはず。
大宙くんは、文化祭中は陽を優先させてくれるとあたしに約束してくれたから。