何それ……偉そうに上から目線で、むかつくんだけど。


ふつふつと沸き上がってくる怒り。


「今更母親ぶって、そんなこと言わないで欲しいんだけど」


ここは学校。取り乱しちゃダメ。せっかくの楽しい文化祭が台無しになっちゃう。


拳を作り、爪が食い込むほどに握って、今にもキレそうになるのを必死でこらえた。


それなのに、あの人は悪びれる様子もなくこう言うんだ。


「何言ってるのよ。私はあなたのお母さんよ?」


――プチン。


完全に、あたしの堪忍袋の緒が切れる音がした。



「あんたなんかっ……あたしの母親なんかじゃない!!!」



あたしの叫び声に、再び野次馬たちが騒ぎ出す。


視界の端に陽と星奈が映り、おろおろと困った様子でこちらを見ているのがわかった。


「今すぐ帰ってよね!!」


あたしは呆然とする母親に一方的に怒鳴りつけ、逃げるようにその場をあとにした。