「え、もしかして朔乃のお母さん?」


「うわ!すっげー美人!てか若っ!」


「でも隣にいる男の人も若すぎない?お父さん?……なわけないよね?」


あたし達に一気に視線が注がれているのがわかる。


しばらく口々に騒いでた他の生徒達だったけど、あたしとお母さんの只ならぬ雰囲気を感じ取ったのか、自然と次第に静かになっていった。


「お母さん、何しに来たの」


静寂を破ったのは、あたしの抑揚のない声だった。


「何って決まってるじゃない。朔乃の高校生最後の文化祭を見守っておこうと思って」


隣にいるのはたぶん新しい彼氏だろう。
随分若いけど、お母さんにメロメロなのか、「ね?」と同意を求めてくるお母さんに鼻の下を伸ばしたまま頷いている。


「来てびっくりしたわ。なかなかすごい出来じゃない。最近の高校の文化祭はすごいのね。よく頑張ってるじゃない、朔乃」