ライバル探知機みたいなのがあるのか、とでも思ってしまうぐらい絶妙なタイミングだ。
「絶妙すぎて気持ち悪いぐらいだわ」
「何ですか急に!」
「失敬な!」とぷんすかする陽に、棒読みで謝りながら、心は必死で平静を装っていた。
だって、陽があたしのもとに来た理由が、なんとなくわかる。
たぶん、そろそろ“時間”なんだ。
あたしの予想を裏付けるように、文化祭を回っていたあたし達のクラスメイトたちがぞろぞろと教室に入ってくる。
今まで宣伝しに行っていた人達も戻ってきたのを見て、確信。
「あの、朔乃先生」
「うん、わかってるよ。交代の時間だもんね」
もうすぐで、あたし達の当番の時間が終わる。
それはすなわち、これから陽は、天川さんを迎えに行くということ……。
「はは、なんか緊張してきました……」
「男が情けないこと言ってんじゃないの」