「でも、ひとりで抱え込まないでよね」
「……ん、わかってる」
星奈の優しい言葉と笑顔に、心が少し軽くなる。
でも、本格的なゾンビメイクのせいで、笑った顔が少し不気味で怖かったことは、秘密にしておこう。
そして、放課後を迎えたものの、文化祭の準備で残っている生徒が多く、とてもじゃないけど“授業”を開ける環境じゃなかった。
でも、陽にとっての大事な日は刻一刻と迫っている。
あたしは最後まで力になりたかったから、いつもとは場所を変えて“授業”を行うことにした。
向かった先は、屋上。
「さあ、じゃあ始めるよ!」
「はい!」
夏も終わり、秋めいたきたとはいえ、まだ暑い。
あたしは腕まくりをして、陽にノートを開かせた。
「さて、当日の文化祭デートコースは決まった?」
「はい!一応考えてきました!」