「僕が委員長になったのも、天川さんの推薦なんです。誰もやる人がいないなら、もともとやろうと思ってたんだけど、天川さんが“有明くんが適任だ”って言ってくれて……それで、さらに……」
どんどん、好きになっていった、と。
まあ、要約すると、見た目で判断せずに他の人たちと同じように自分と接してくれた天川さんに、有明陽は恋をしたということだ。
「そっかー。じゃあ、それなりの期間、片想いしてるわけだ」
「そ、そうです……」
有明陽が恥ずかしそうに俯く。
恋する乙女……ではなくて、男だけど、そのまっすぐに誰かを想う姿は、たとえ地味でおとなしくて暗いイメージの強い有明陽でも、あたしはすごく素敵だと思った。
「委員会の時以外でも話したりするの?」
「それが……」
首を横に振り、否定の意を示す有明陽。
「クラスも遠いし、用事もないから、委員会関係のことがなかったら会う機会すらなくて……」
「んー……そっか」
どうしたものか。
会う機会がなければ、あたしが何かを教えたところで、それを実行することもできない。
今朝、天川さんがうちのクラスに来たのだって、“美化委員長の有明陽”に用があったというだけ。