大宙くんは、あたしの向かい側にどかっと座ってきて、「おい」と言いながら、あたしの頭を突っついてくる。
「……何」
「頼みがある」
大宙くんがあたしに関わってくるということは、用件は天川さんのことか陽のことだ。
正直、今はあんまり話を聞けるような気分じゃないんだけどなぁ。
嫌々ながらも話を聞く態勢をとると、大宙くんが口を開いた。
「俺、文化祭の前日に天川に告るつもりなんだ」
そうなの……って、前日!?
「ぜ、前日はダメ!!」
陽は、文化祭当日に天川さんと一緒に回ったあとで告白する予定。
それなのに、大宙くんが天川さんに告白してしまえば、彼のことが好きな天川さんはOKするだろうから、そこでカップルが成立。
そうなってしまえば、次の日の文化祭には、当然カレカノ同士で回るのが普通で、陽との約束がまた断られてしまうかもしれない。