「誘えた?」
「はい!OKもらえました!」
「やったー!」と、万歳して喜ぶ陽。あたしも「よかったね」なんて声をかけるけど、作り笑いしかできない。
だって、天川さんと回るということは、あたしが陽と一緒に回ることはできない。
陽が天川さんに告白して振られれば、陽の初恋はそれで終わり。つまりは、こうして放課後わざわざ二人で授業をする必要もないわけで。
そうなってしまえば、あたしと陽が関わることも、もうないかもしれない。
だって、あたし達がこうして仲良くなったのは、陽が恋愛を教えて欲しいと言ってきたのがきっかけだから。
そのきっかけになったことがなくなってしまったら、もう“先生”と呼んでもらうことも二度とないんだ。
寂しいな、そんなのやだな。
陽に出会ったおかげで、薄っぺらなただれた恋愛しかしてこなかったあたしが、誰かを本気で好きになることができたのに。