「じゃあ、そういうわけなので、今日の放課後、アドバイスよろしくお願いします!」


にこやかに微笑む陽。


その笑顔を見たら、水を差すような真似はできなくて。


「……まっかせなさい!」


あたしも笑顔で、いつものように答えるしかなかった。


きっと、陽は振られてしまう。
大宙くんが、とは言われなくても、好きな人がいるから、と。天川さんに告げられてしまうだろう。


陽を、わざとつらい道へと向かわせるんだ、あたしは。


振られたあとの陽に、あたしは“先生”として、どんな言葉をかけてあげればいいんだろう……。


「朔乃先生?」


「あ、うん、えっと、じゃあ文化祭いろんな意味で頑張らなきゃね」


「はい!」


取り繕うあたしに、陽はまったく気づく様子はなく、お化け屋敷企画の話し合いへと戻って行った。


高校最後の文化祭は、ただ楽しく、だけでは終わりそうにありません……。