「追い込み?って、どういうこと?」


あたしの質問に、陽は「あぁ」と言って、周囲をきょろきょろと見回す。


そのあと、少し頬を赤く染め、口元に手を添えて声を潜めてから答えを教えてくれた。



「……実は、そろそろ天川さんに告白しようと思ってるんです」



あたしの思考と動きと、驚きのあまり呼吸まで止まる。


そして、陽の言葉を、心の中で復唱してみた。


天川さんに……告白しようと……。


天川さんに……。


こ、……!?


「ええぇぇええーーっ!!?」


勢い余ってガタンと椅子から跳ね上がるようにして立ち上がり、抑えきれなかった声が気づいた時には遅く口から飛び出ていた。


一気に注がれる、クラスメイトたちからの視線。


「さささ朔乃先生!!」


「ご、ごめんっ……」


陽にたしなめられ、あたしは笑ってごまかして、静かに椅子に座り直した。