「陽、借り物競走応援してるからね」


「ありがとうございます!」


本当はすごくつらいんだろうけど、でも陽がそれを隠すのなら、あたしは気づかないフリをしてあげよう。


空元気だとしても、それでも無理に笑っていれば、本当に少しだけでも気持ちが軽くなるかもしれないし。


「そろそろ開会式始まるから、みんな集まってー!」


体育委員に促され、あたしは星奈と一緒にタオルや飲み物などを持ってグラウンドに出た。


「やばー!日焼け止め持ってくんの忘れたー!」


「あ、あたし持ってるよ」


太陽を避けるように、タオルを頭からかぶる星奈。


そんな彼女に日焼け止めを差し出すと、「朔乃、神様〜!」と拝まれた。


〈それでは、これより開会式を行います……〉



本部テントの横のスピーカーから放送が入り、グラウンドの中央に集められたあたし達。


校長先生の長〜い話やら、体育委員長による選手宣誓。全校生徒での準備体操を終えると、各々自分のクラスのテントへ戻る。