「大宙くんの自信も相当なものだけど、あたしはそれ以上に陽のほうが結ばれる自信あるから!」
ニッと歯を出して笑って見せると、大宙くんは悔しそうに少しムッと頬を膨らませる。
「有明には、とんでもなく心強い味方がいるんだな」
それから、困ったように頭をガシガシと掻き回す大宙くん。
「でも、俺だって絶対負けねーよ」
受けて立つ、そう言い残して。
大宙くんは、どこか楽しそうないたずらっ子みたいな笑顔を浮かべて、教室をあとにした。
「こっちだって負けないわよ。ね、陽」
誰もいない陽の席に向かって、ひとりでそうつぶやく。
陽のほうが結ばれる自信は確かにある。
今だって見てる限りだと結構いい雰囲気だと思うし、デートは断られてしまったかもしれないけど、きっとやむを得ない用事があったんだと思う。
何より、陽の天川さんへの想いが強くてまっすぐだ。
嘘とか偽善なんかじゃなくて、本当に、心からそう思っている。
だから……。
今にも泣き出してしまいそうなほどに、心が痛い。