別に天川さんのことがどうでもいい相手なら、誰がどうやって天川さんに近づこうと関係ないはず。


でも、わざわざここまで来て、あたしのことまで突き止めて、こんなこと聞いてくるなんて変。


案の定、大宙くんはみるみるうちに顔を真っ赤にさせた。


「べっ、別にそんなんじゃねーけど!」


「その顔でよく言えるね」


すぐに笑顔で突っ込むと、「ぐっ……」と唇を噛んで押し黙る大宙くん。


あたしの中で、大宙くん=陽のライバル、という式が確立した。


「と、とにかく!天川は俺のだから手ぇ出すな!」


「付き合ってるの?」


「まだだけど!将来そうなる予定なの!」


おお、なかなか自信たっぷりな物言い。


陽に足りないのは、こういうところだと思う。


でも……。


「何で、それを陽じゃなくてあたしに言うの?」


陽に堂々と真正面から言ってやったほうが手っ取り早いのに。
正直、陽の性格なら、そのほうがひるむような気がする。


それなのになんでだろう。


大宙くんは、あたしの問いに少し切なそうな顔をして、目線を下に落とした。


「あいつにもそのうち直接言うつもりだけど、天川を好きになる気持ちはわかるから、あんまりドロドロ争ったりしたくねぇ……っていうか」