予想外の質問の内容に、あたしはしばらく目を白黒させる。
口を開けたまま答えないあたしに痺れを切らして、大宙くんが「違うのか?なんか言えよっ」と、慌て始めたのであたしは首を横に振る。
「確かにあたしだけど、何で知ってるの?」
「このクラスに仲良い奴がいるから、それで聞いて……」
「そうなんだ」
さすがに端のクラスの7組にまで、あたしと陽の関係が広まっていたら、天川さんにバレるのも時間の問題だ。
でも、そうじゃないみたいだから、ひとまずよかった。
「有明が天川のこと好きなのは何となく気づいてたけど、最近有明が積極的になったのって、裏であんたが糸引いてるからなんだろ?」
“天川”って、呼び捨てにしてる人は、初めて見たかもしれない。
他の男子は、高嶺の花だとかなんとか言って、いつも“天川さん”って呼んでるのに。
もしかしたら、この人……天川さんと結構親しい間柄?
「何で、そんなことわざわざ聞くの?」
あえて、質問を質問で返した。
なわとなく、女のカンがこう言っていた。
「大宙くん、もしかして天川さんのこと好きなの?」