陽は、どうして断られていたことをあたしに教えてくれなかったんだろう。
もしかしたら、陽のことだから、デートの予行演習に付き合ったあたしに申し訳ないとか思ったのかな。
まあ、それはいいとして、問題は天川さんだ。
どうして、急に陽とのデートを断ったんだろう。
一度はOKしてくれたのに、ドタキャンなんてひどすぎる。
陽の喜びも、楽しみも、頑張りも全部返して欲しい。
誰のために予行演習をあたしに頼んできて、わざわざ当日に着る服まで買ったと思ってるんだ。
「……むかつく、天川さん」
週が明け、月曜日になった今日でも、彼女に対する怒りが収まらない。
陽にあそこまで想われているのに、どうして。
陽の心に、あたしが入る隙間なんて1ミリもないぐらい。
それぐらい想われているのに、天川さんはどうして。
彼氏がいるなんて噂は聞いたことないし、それは陽の恋愛授業を引き受けた最初の頃に調査済みだから間違いない。
それに、陽のことを嫌っているようにも見えなかったから、考えれば考えるほど、天川さんがデートを断った理由がわからなかった。