「もうすぐで体育祭です。というわけで、今日のホームルームで、誰がどの種目に出るか決めたいと思います」


デートの予行演習をした二日後。


月曜日を迎えた今日の最後の授業はホームルーム。


今日は、星奈に土曜日の出来事やら感想やらを根掘り葉掘り聞かれたあげく、それを近くで耳にしていた他のクラスメイトたちに、また新しい彼氏ができたのだと誤解されてしまった。


もちろん陽の名前は出していないからそこは大丈夫だったし、きちんと一から説明したら納得してくれたからよかったけど。


誤解を解くのにそれなりに苦労したから、すっかり疲れてしまっていた。


「じゃあ、100メートル走に出てくれる人ー!」


体育委員の男女が、教壇でみんなに呼びかける。


その声が、やたらと遠くに聞こえるのは、睡魔のせいであたしの意識が遠のいているから。


疲れていたし、窓際の席だから日当たりも良好なおかげで、まぶたはどんどん重くなる一方。


うつらうつらとしているあたしを我に返らせたのは、隣から発せられた声だった。