修学旅行の要項の説明を無事に終え、俺はほっと一息ついた。




どうせ若手教員に発言権などないのだから、あとは座って時が過ぎるのを待つのみ。





次々と読みあげられる資料にぼんやり目を落としながら話を聞いていると、最後に校長が立ち上がった。






「えー、みなさんにお願いがあります」






顔を俯けていた先生たちが一斉に目をあげ、校長のほうに視線を集めた。







「一番最後の資料をご覧ください。


あー、教育委員会のほうから要請があったのですが、皆さんすでにご存知のことですが、先ごろ起こったT高校での不祥事ですね。


えー、あの件を受けまして、皆さんに置かれましてもそのようなことの絶対にありませんように、お気をつけください」







その話を聞きながら、俺の心臓がどきりと跳ねた。