「おつかれさん。

今日は忙しかったか?」






「はい、少しだけ……」






「そうか。………蒸し暑いな」






「はい」







会話といっても、この程度のものなのだが。





でも、はじめのころのように、不自然な沈黙に陥ることはなくなった。





基本的に春川から話しかけてくることはほとんどないので、俺が話題を振るわけだが、その話題選びに慣れてきたというのが大きいだろう。





俺はやっとのことで、春川が「はい」と「いえ」以外の返事をしてくれるような話題を、見極めることができるようになったのだ。