私の降りる駅が次に迫ってきたとき、私は勇気を振り絞って、口を開きました。






「ーーー先生」





「ん?」






先生が少し驚いたように、こちらを見下ろしてきます。




そういえば、私から先生に話しかけたことは、ほとんどなかったと、そのとき気づきました。







「………あの、明日は……」






「うん?」






「バイト、ありません………」







言ってから、私は、とても恥ずかしくなりました。





先生が私を待っていてくれたのかどうかも分からないのに、こんなことを言うなんてーーー





たまたま駅で会って、方向が一緒だから、同じ電車に乗っているだけかも知れないのにーーー