先生は頷き、また視線を窓の外に向けました。




私も同じように、窓の外を眺めました。





ガラスに、並んで立つ先生と私の姿が映っています。




背の低い私の頭のてっぺんは、背の高い先生の胸のあたりにありました。






私たちは何も話さないまま、電車に揺られていました。





間もなくA駅、というアナウンスが流れると、先生が私をちらりと一瞥して、








「――――じゃあ、な。


気をつけて帰れよ」







「あ、はい………」







「また、明日な」







私は先生に会釈をして、電車のドアをくぐり、ホームに降り立ちました。