『春川について2』







8組での授業を終え、俺は職員室へ戻ろうと廊下を歩いていた。




何かと声をかけてくる生徒たちを適当にあしらい、なんとか教室ゾーンを抜けたところで。






「――――あ」






「………こんにちは……」







また、こいつだ。




春川彩香。





なんだって最近、こんなによく会うんだろう?






いや………。



俺は今まで、こいつが近くにいても、きちんと認識していなかっただけなのかもしれない。





あの視線の持ち主だと気づいて、意識するようになったから、こいつの姿が視界に入ると「春川だ」と認識するようになったのだ。