チャイムが鳴り、先生が教室を出た後。



私は先生から課題のチェック表をもらっていないことに気がつき、急いで後を追いかけました。





窓から明るい光が射し込む廊下を、先生がすたすたと歩いていきます。



背の高い先生の歩幅は広く、クラスで一番ちいさい私は、なかなか追いつけません。




そうこうしているうちに、





「あっ、藤森せんせーっ」





すぐに、先生の周りに人だかりができました。



先生は、若くてかっこよくて、面白くて優しいので、女子からも男子からも大人気なのです。





「せんせー、あたしこの前の模試でね、数学が……」





にこにこ笑いながら話しかける2組の女の子の頭を、先生はぽこりと叩きました。