私は心臓が破裂してしまうのではないかと思いながら、ゆっくりと口を開きました。






「………拓人、さん」






初めて口に出した先生の名前が、何度も頭の中を巡りました。




顔が赤らむのを自覚しつつ先生を見ると、きっと私に負けないくらい、紅潮していました。






「………彩香」





「ふふ……はい」






照れくさくて笑ってしまいます。




先生はもう一度、「彩香」と優しい声で呼びました。






「今から、彩香のお母さんに挨拶に行こうと思うんだけど、いいかな」






私は驚いて「えっ?」と顔を上げました。