言いかけた唇が、やわらかいもので塞がれました。




すぐ目の前に、先生の目があります。



先生の真剣な瞳に、大きく見開かれた私の瞳が映っていました。





そのとき初めて、私に触れているのは、先生の唇なのだと気づきました。





驚きのあまり、身動きもとれずにいると。







「………春川」







先生が唇を離し、すこし赤くなった顔で言います。







「今、この瞬間に、俺とお前は、教師と生徒じゃなくなったよ」







先生がふわりと身をかがめて、私を抱きしめました。




こつん、と先生が私の肩に頭をのせます。