ライトアップされた桜は、まるで夜闇の中に浮かびあがる白い炎のようで、私はうっとりと見惚れてしまいました。






「きれいですね」





「うん。喜んでくれてよかった」





「はい、嬉しいです」






一時間ほど夜桜を見物して、温かい抹茶を飲んでから、帰途に就きました。




私の降りる駅についたとき、先生が「俺も降りるよ」と言いました。






「え………」





「家まで送る」





「平気ですよ。先生、明日もお仕事でしょう」





「いや、いいんだ。送らせてくれ」






先生は頑として受け付けず、本当に私と一緒に降りてしまいました。