とめどなく流れる涙を袖で拭い、先生を見つめました。





優しく包みこむような表情で見つめ返してくれる先生。





でも、その手がかすかに震えているのが、私には見えていました。





その震える手に触れたい、という思いが沸きあがりました。






先生に、触れたい。




先生に、近づきたい。






気持ちが抑えきれなくなって、私は二人の間の空間に両手をつき、先生のほうへ身をかがめました。






「先生―――近づいても、いいですか」






先生は目を瞠り、くすりと笑います。






「………また、先に言わせちゃったな……」