思わず頬が緩んだ。




わいわいと騒ぐ生徒たちを見つめながら、年寄りくさくこれまでの思い出に浸っていると。




向こうのほうに、小さな姿が見えた。





―――春川だ。




心臓が一瞬、とまったように感じた。





一気に鼓動が早くなって、顔に血の気が集まったような気がした。





春川は、二年時に担任していた倉田先生と話していた。




穏やかな微笑みを浮かべ、ときどき頭を下げる。





その姿を見ていると、俺は、今すぐにでも駆け寄りたい気持ちになった。





だって、もう、春川には会えないのだ。




今日が最後なのだ。






近くで顔を見たい。




声が聞きたい。