『春川について9』







「藤森せんせー、おはよーっ」





朝、いつものように校門に立っていると、見慣れた顔の女子数人が笑顔で声をかけてきた。





「おう、おはよう」




「なんか久しぶりだね、先生!」




「今日のスーツ、真っ黒でかっこいい!」




「礼服って言うんだよ。今日は厳粛な式の日だからな」




「勝負服ってやつ!?」




「きゃはは!! なんの勝負!?」




「あほか。ほら、早く行け。お前ら、いろいろ準備があるだろ」




「あ、先生、あとでアルバム持ってくから、コメント考えといてね!!」




「はいはい、ほら、急げよ!」




「はーい!!」






まったく、最後の最後まで、世話のかかる連中だ。