それから俺は、春川と距離を置くように心がけ始めた。





以前のように不自然な避け方ではなくて、表面上は普通に顔を合わせるし、挨拶もするし、言葉も交わす。




でも、あくまでも『教師と生徒』の関係の範疇を越えないように。





もちろん、春川のバイトが終わるのを待つこともやめた。





いきなりこんな態度になって、春川はどう思っているのだろう。




でも、春川は何を言ってくることもなかった。




すれ違うときには丁寧に会釈をして挨拶し、授業中もやっぱり背筋をぴんと伸ばして静かに俺を見つめている。






なにか言わなければ、フォローしなければ、とは思ったけど。




俺はもう、春川と面と向かって真剣な話をするほどの勇気がなかった。