静かに、時が流れていきます。




しぃんとした夜の公園には、暗い街灯が一つあるきりで、付近にもひとの気配はありません。





ただ、遠くのほうが、幹線道路を走ってゆく車のエンジン音が聞こえていました。






「………春川」






ゆっくりと口を開いた先生の声は、まだ少し掠れていましたが、先ほどまでよりはずいぶん元気になっていました。






「………ごめんな、情けないところ見せちゃったな」






先生の言葉に、私はふるふると首を横に振りました。






「そんなことありませんーーー嬉しかったです」






素直に思ったままを口に出すと、先生が意表を突かれたように目を丸くしました。






「先生が、きっと誰にも見せない顔を、私にだけ見せてくれたから」