『藤森先生観察日記8』








ーーー抱きしめたい、






と、



唐突に、急激に、私は思いました。






先生を、抱きしめたい。





悲しみの涙に頬を濡らし、


肩を震わせ、


声を震わせている先生を、




抱きしめて、包み込んであげたい。






その思いは、私の中で、驚くほどの勢いをもって、抗いがたいほどに強く、膨らんでいきました。





気がつくと私は、先生との距離を詰め、先生のほうに手を伸ばしていました。






顔を覆い隠して嗚咽を洩らす先生の両側に、私は腕を広げました。






………でも。





先生は、先生。




私は、生徒。






先生のことを、生徒の私が抱きしめるなど、きっと許されないことです。