「………はる、かわ」






無意識にもれた俺の声は、まるで迷子になった子どものように響いた。





顔を覆っていた手を外して、俺は隣に目を向けた。




澄んだ瞳が俺を映している。






「はるかわ………」






また、呟きが洩れた。






「………せんせい、」






かすかに囁くような春川の声が、夜風に乗って俺の耳に届いた。






「先生、先生………。


先生、私が………」






春川が何か言いかける。




俺はゆるゆると手を伸ばし、春川の小さな手に触れようとーーー