『春川について7』







まるで何かから逃げるかのように、俺は修学旅行から帰ってきた。




何から逃げていたのか。






………春川だ。





春川の、あの静かでまっすぐな視線だ。






俺は急に、あの目で見つめられることが恐くなった。






いや、違う………。





俺が春川を見るのが恐くなった。




俺の視界に春川の姿が映るのが、恐くなった。






春川を見て―――他の誰かと楽しそうに喋る春川を見て、自分の心がどう揺れ動くのか。





それを知るのが………俺は、どうしても恐ろしかったのだ。