それから、二人で京都の街を回った。




もちろん、学校の連中と何度か会ったけど、春川が班員とはぐれてしまったという説明をすれば、誰も怪しんだりはしなかった。





他の先生たちも、なんだかんだで生徒につかまって一緒に行動したりしていたし、特に珍しいことではなかった。





俺だって、班の子から連絡がきたら、すぐに春川を連れて行ってやり、みんなと引き合わせてやるつもりだった。





でも、なかなか連絡は来なかった。





そのことになぜかほっとしてしまいそうな自分の心を必死に無視して、俺は春川と一緒に歩いた。






「春川、行きたい店とか、行きたいところとか、ないのか?


せっかくだから、春川が行きたいところに行こう」






隣を歩く春川を見下ろすと、春川は考え込むように俯いてから、「じゃあ、錦市場に……」と少し恥ずかしそうに言った。