「あっ、藤森せんせーっ!!」





春川と別れようとしたところで、後ろから甲高い声と騒がしい足音が響いてきた。




ことあるごとに俺に絡んでくる、谷口という女子生徒だ。



すぐ後ろから、仲良しの島野という女子もついてきている。






「廊下を走るな、廊下で騒ぐな!」






わざときつい目つきで言ってやったが、お調子者の谷口はひるんだ様子もなく、そのままの勢いで俺に飛びついてきた。






「うおっ、何すんだ!!」





「だってずっとセンセー探してて、やっと見つけたんだもーん!!」





「なんだよ、俺は用事ないんですけど?」





「ひどーい!!」





谷口と島野が声を合わせて笑った。




春川は三歩ほど後ろに下がり、じっと成り行きを見守っている。