―――うん。それは、大丈夫だ。





俺は別に、春川と密室で二人きりになったことなどない。




というか、校内で二人きりになったことさえない。





ただ、仕事帰りに一緒に電車に乗っているだけだ。



周りには当然、不特定多数の人がいる。




誰も見ていないところで良からぬ行動をしている、なんていうわけではないのだ。






………それなのに、なんでこんなに動揺しているんだろう、俺は。




まるで心当たりでもあるみたいじゃないか。






いやいや、そんなことはない。




俺は断じて、人に言えないようなことをしているわけじゃないんだから。






―――俺はずっと、そんなことをぐるぐる考えていた。