小川君がその箱をつかんで、床に下ろした。
何が入っているのかと、開けて見てみると……。
「ひ、ひやあああぁぁっ!」
落ち着いた雰囲気が一瞬で凍りついてしまう程の衝撃。
何度もそれに似たものを見ている私でさえ、心臓がいつもとは違う動きをしているんじゃないかと思うほどのショックを受けた。
冷たいものが、心臓から全身に広がるような感覚に包まれて……その箱の中にある、不気味なモノに視線を戻した。
幸恵の……頭部。
首で切断されたそれは、今回最初のカラダにしては衝撃が大きすぎた。
「見つけた……幸恵の……小川君、これをホールにあった棺桶の中に入れるんだけど、やってみる?」
「む、無理無理無理!! ぜ、絶対に無理だよ!!」
手と首を大きく何度も横に振り、全力で拒否する小川君。
いくらカラダを探さなきゃならないからって、これが普通の反応だよね。
私達の感覚が狂っているんだろうな。
「いったい何の騒ぎなの? そんな大声を出してたら……それは……見つけたのね?」
ドアを開けて準備室に入ってきた遥が、幸恵の頭部を見て神妙な面持ちに変わった。
カラダを手に取ってしまえば、棺桶に納めるまで気が抜けない。